「赤ちゃんとふたりきりになるのが不安」
そんな風に自分が思うなんて、出産する前には思いもしませんでした……
もともと筆者は、精神的に弱く、すぐに落ち込む人でした。
初めての妊娠中も、少しお腹が張れば病院に行きました。
そんなに神経質にならなくてもいいほどに、少しのことで不安になっていたのです。
そんな筆者が出産後、個室の病室で赤ちゃんとふたりきりにされたときの不安といったら……
自分のお腹の中にいた「中の人」が、今、目の前にいる。
この目の前の赤ちゃんが泣いたら、私はどうやって対処すればいいの?
この記事は、そんな不安がふつふつと押し寄せてきた筆者の体験談です。
赤ちゃんとふたりきりで不安に思っているのは、あなただけではありませんよ。
出産した病院は個室で母子同室
長男は里帰り出産でした。
実家からほど近い、総合病院で出産することにしました。
その病院は、完全個室で母子同室。
出産するまでは、入院なんてしたことなかったので、赤の他人と同じ病室で過ごすことが想像できなかったのです。
妊娠中にネットで読んだ出産の体験談では、4人部屋や6人部屋で、
『赤ちゃんが夜中に泣いて気を使った』
などの情報が書かれていました。
筆者は、HSP(繊細さん)でもあるので、知らない人と同じ空間にいると考えただけでクラクラしてしまいます。
他の人が寝ているのに、自分の赤ちゃんが泣いたら?
自分が寝ていて、他の人の赤ちゃんが泣いたら?
自分の赤ちゃんが寝ていて、他の人の赤ちゃんが泣いたら……?
いろいろ想像を巡らせていましたが、出産した病院は完全個室。
赤ちゃんが泣くことで、周りの人に迷惑をかけることはなさそうだ、と安心していたのですが……
初めて赤ちゃんとふたりきりになったとき
長男は予定日より6日早く生まれてきました。
前日の夜中から微弱で3~9分と間隔が安定しない前駆陣痛のような陣痛が続き、ほとんど眠れませんでした。
やっと生まれたのは、陣痛が始まった翌日の朝。
出産時の出血量が多く、出産時間も長かったので、出産日の夜は新生児室に赤ちゃんを預け、一人病室で休みました。
翌日の昼食直前に、赤ちゃんが筆者の病室までやってきたのです。
初めておっぱいをあげ、上手く飲めないので、ミルクを追加であげました。
そして、一通り説明を終えたあと、赤ちゃんを連れてきた看護師さんは去っていったのです……
「どうしよう……」
おさえきれないほどの不安に呑み込まれた瞬間でした。
赤ちゃんとふたりきり。
どう過ごせばいいの?
何をすればいいの?
そして、運ばれてきた昼食。
赤ちゃんをコットに入れてみたら、泣くのです。
どうやってご飯を食べるの?
赤ちゃんって、ずっと大人しく寝ているもんじゃないの?
そう動揺しながら、最終的には赤ちゃんを抱いたまま、昼食を食べました。
そのあと、自分がどう過ごしていたかは定かではありません。
記憶にないのです。
もう、不安の渦に呑み込まれてしまったことだけが筆者の脳裏に強烈に残ったのでした。
夫が付き添い入院してくれたけど
当時、コロナ禍に入る以前だったので、希望して病室が空けば、夫が付き添い入院することが可能でした。
初めて赤ちゃんとふたりきりで過ごしたお昼のあと、希望していた病室に空きが出ました。
夫に、希望していた病室が空いたから、泊まる準備をしてくるよう伝え、面会時間が始まってすぐに荷物を持って夫が病室に来てくれました。
夫と、一緒にお見舞いに来た両親と兄を見たとき、
「やっと赤ちゃんとふたりきりにならなくて済む」
という安堵感に包まれたことを覚えています。
お見舞いに来た両親と兄が帰宅したあと、初めて家族3人で過ごしました。
ママになりたての筆者とパパになりたての夫、そして、生まれたばかりの赤ちゃん。
でも、初めて赤ちゃんとふたりきりで過ごしたあの時の不安感は、夫がいることで薄められました。
パパになりたてで頼りないとはいえ、誰かがそばにいてくれることの安心感。
あのまま、希望の病室が空かずに、夜も赤ちゃんとふたりきりで過ごさなきゃならなかったとしたら……
筆者はどれだけの不安に押しつぶされてしまったことでしょう。
赤ちゃんと初めて過ごした夜
夜は、睡眠を確保するため、夫と交代で赤ちゃんを見ることにしました。
授乳は、3時間に1回と指導を受けていたので、赤ちゃんの授乳時間に合わせて、3時間ずつ交代で寝ることにしました。
夫が先に赤ちゃんを見てくれ、筆者が先に休むことに。
なかなか寝付けませんでしたが、出産の疲れもあり、いつの間にか眠りについていました。
3時間後、アラームをセットしていて、筆者が起きたとき、夫は小さな小さな赤ちゃんをずっと抱いていたようでした。
そして、おむつ替えや授乳など一通りを終え、筆者と交代し、夫は眠りについたのです。
腕の中でスヤスヤと眠る小さな小さな赤ちゃん。
愛おしいけど、できれば抱かずにコットに寝かせたい!
何度かコットに赤ちゃんを置いてみたものの、置けば起きて泣く。
抱っこしたら寝るので、また置いてみて、やっぱり起きて泣く。
その繰り返しで、結局諦めて夫が起きるまで、抱っこして座ることにしました。
幸い、膝の上の授乳クッション上であれば起きることなく寝てくれていたので、円座クッションに座り、夫が起きるまで抱き続けました。
そんな夜を過ごした次の日の夕方だったと思う。
付き添い入院とは言っても、夫の分の食事は用意されていないので、夫は買い出しにでかけることに。
また、赤ちゃんとふたりきりで過ごすことになりました。
赤ちゃんとふたりきりで過ごした夕方
窓から漏れる夕日。
だんだんと薄暗くなっていく病室。
そして、腕の中ですやすや眠る自分の赤ちゃん。
夜にコットに寝かせられなかったので、もう抱いていないといけないという刷り込み。
そして、そばに誰もいないという恐怖と不安。
夫の買い物はさほど長い時間ではなかったものの、長時間この世の中で赤ちゃんとふたりきりになった気分になりました。
時々夫が、「何か必要なものはある?」などLINEを送ってきてくれていたのですが、そんなことより早く戻ってきて!!と何度も思ったものです。
夫が病室に帰ってきてくれたときには、本当に、本当に安心したことを覚えてます。
赤ちゃんを新生児室に預ける罪悪感
看護師さんにより、全然対応が違ったのですが、申し出をすれば、朝まで通しで赤ちゃんを新生児室に預けることができました。
優しい看護師さんには、
「しんどくなったら、いつでも夜、赤ちゃん預かりますからね~」
と言ってくれましたが、私たちが赤ちゃんを新生児室に預けようと決心したのが、退院の前夜でした。
退院してしまえば、ゆっくり寝る時間は確保できない、と入院中に理解できたので、最後に一晩だけでもゆっくり休ませてもらいたかったのです。
しかし……
その晩の担当看護師さんに申し出たら、「そんなんでちゃんと母親になれるの?」と責められるような冷たい視線で、新生児室へ自分で連れていくよう、案内されました。
「あぁ・・・、私はもう母親失格なのかな?」
「新生児室に預けるなんて、ダメな母親なのかな?」
ものすごく罪悪感がおそいかかり、とても落ち込み、夫にもそれが伝わったようで、寄り添ってくれました。
この時、夫がいなかったら、立ち直れなかったかもしれません。
それだけ、筆者の産直後のメンタルは危ういものでした。
母子同室はおすすめしない
赤ちゃんと一時も離れたくない、というママさんが存在することは理解しています。
そういう方は、母子同室でとても幸せな産後の入院生活を送ることができると思います。
しかし、筆者のようにメンタルが弱かったり、過去に精神的な病気にかかっていたりする方には母子同室はおすすめしません。
筆者は本当に、追い詰められた気持ちになったのです。
ナースコールを押せば、看護師さんがすぐ来てくれる病室でも、赤ちゃんとふたりきりで過ごすだけで、十分孤独でした。
この経験をもとに、2人目の出産は完全母子別室(20時以降朝6時まで授乳での呼び出しなし)で無痛分娩できる病院で出産しました。
無痛分娩は、間に合わず普通分娩でしたが。笑
赤ちゃんとふたりきりが不安だった体験談まとめ
「赤ちゃんと一時も離れたくない!」
みんなが絶対にそう感じることはありません。
筆者のように、赤ちゃんとふたりきりになるのがものすごく不安になる人も当然います。
もし、自分がそう不安に感じていて、自分を責めているようであれば、それは違います。
出産後は、心身ともにバランスが崩れます。
そんなとき、寄り添ってもらえる人がいることがどんなに心強いでしょう。
もし、この記事を読んでいる方のパートナーが、赤ちゃんとふたりきりで不安だと少しでもSOSを出していたら、逃さずキャッチして、寄り添ってあげてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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